住宅ローンの金利が上がるかもしれないと、ニュースで見た。変動金利のままで大丈夫かな。
変動金利が上がるのは遅く、毎月の返済額もしばらく変わりませんが、将来が不安な場合は、すぐに固定金利に変えましょう。
住宅ローンは人生の中で長い付き合いになる商品です。
借りるときに一生懸命調べても、どんな仕組みだったのかは忘れてしまいますよね。
しかし、メリットとデメリットを正確に理解していないと、余分なお金がかかって後悔したり、返済が苦しくなったりすることも。
この記事では、信用金庫で住宅ローンの借り換え相談に乗っていた筆者が、変動金利と固定金利の特徴とメリット、デメリットを簡単に紹介します。
実際にお客様へ説明していた内容をお伝えするので、どちらの金利を選ぶのかの参考にしてくださいね。
目次
住宅ローンは変動金利から固定金利に変えるべき?
変動金利か固定金利のどちらを選ぶのかは、あなたのライフプランや何を重視しているかで決めましょう。
変動金利が上がるのは固定金利が上がったあと
住宅ローンは、先に固定金利が上がり、あとから変動金利が上がります。
固定金利と変動金利は基準にしているものが違うので、別のタイミングで動くのです。
変動金利はまだ上がらないなら安心と思うかもしれませんが、いつか固定金利に変えることを検討しているなら、注意が必要です。
変動金利が上がる頃に固定金利に変えようとしたら、そのときには固定金利がさらに上がっています。
金利が上がるのが心配な場合や迷っている場合は、早めに金利タイプを変えたり、借り換えたりしましょう。
変動金利の特徴と注意点
低金利時代が続いてきたので、変動金利は約70%*1の家庭で選ばれるほど、圧倒的な人気をほこっています。
金利だけを見ると変動金利を選びたくなりますが、特徴や注意点もしっかり確認しましょう。
変動金利が上がるリスクを忘れないこと
圧倒的な金利の低さが変動金利の魅力ですが、金利が上がるリスクを忘れてはいけません。
「変動金利は10年以上変わっていませんよ。」や「変動金利のほうが人気ですよ。」という説明を銀行員から受けたことはありませんか。
その説明は事実ですが、今後も上がらないという保証ではありません。
金利が低いからといって返済できるぎりぎりの額を借りるのではなく、毎月お金を余らせて、貯金したり運用したりしましょう。
住宅ローンは毎月返済するだけでなく、お金がたまった分だけまとめて「繰り上げ返済」できます。
変動金利の低さを活かして、早めに繰り上げ返済していくと安心ですよ。
金利が上がったら貯金や運用を控え、金利が低いままなら早めに繰り上げ返済して、逃げ切る作戦です。
変動金利が上がっても5年間は同じ返済額
信用金庫や銀行の住宅ローンの変動金利は、半年ごとに金利を見直し、5年ごとに返済額を見直すのが一般的です。
さらに、ほとんどの銀行が5年が過ぎても、返済額を上げるのは125%までと決めています。
つまり、毎月10万円返済している場合は、上がっても12万5000円までということです。
いきなり毎月の返済額が倍になったら困るから、よかった~。
しかし、もしも、本当はもっと金利が上がっているのに、毎月の返済額を125%までに抑えていた場合は、問題もあります。
払いきれなかった分の利息が、最後の返済の時に残ってしまうのです。
残った利息は一括で返すことになるので、注意してくださいね。
固定金利の特徴と注意点
固定金利を選べば、ずっと同じ金利でいられるから安心だよね。
「固定金利とついていれば、大丈夫!」というわけではないのです。
固定金利とつく金利タイプは2種類あるので、契約した時の内容を確認してみましょう。
固定金利とつく金利タイプには2種類ある
固定金利という言葉がつく金利タイプは2種類あります。
- 返し終わるまでずっと同じ金利の、全期間固定型
- 約束した一定期間は固定金利でいられる、固定金利期間選択型
フラット35などの全期間固定型は、市場の金利がどんなに上がっても一度契約したら変わりません。
しかし、固定する期間が長ければ長いほど、金利が高いのです。
金利の高い順に並べると、全期間固定型>固定金利期間選択型>変動金利型、となります。
教育費がかかるあいだは金利が上がったら困るし、できるだけ低く抑えたい…。
こんな場合も固定金利期間選択型なら、3年、5年、10 年などあなたのライフプランに合った固定期間を選べるので、便利です。
固定期間が終わった後は、もう一度固定金利を選ぶか、変動金利に変えるかを選べます。
固定金利期間選択型は固定金利期間が過ぎたら要注意
いいとこどりのような気もする固定金利期間選択型ですが、固定期間が終わるときに金利が上がるリスクがあります。
いざ固定金利か変動金利かを選び直そうとしたときには、借りたときよりも金利が上がっている場合があるのです。
さらに、住宅ローンを契約したときに説明された金利やチラシやホームページでアピールされている金利は、特別に優遇されたキャンペーン金利です。
キャンペーン金利を適用してもらえるわけではないので、交渉しなければ金利は上がってしまいます。
固定金利期間が終わって何もせずにいると、キャンペーン金利でない高い変動金利になってしまうので、必ず交渉しましょう。
住宅ローンの借り換えを考えるのに、いいタイミングですよ。
変動金利と固定金利のメリットとデメリットまとめ
変動金利型、固定金利期間選択型、全期間固定型のメリットとデメリット、どんな場合に向いているのかをご紹介します。
メリットとデメリット
金利タイプ | メリット | デメリット |
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変動金利型
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固定金利期間選択型
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全期間固定型 |
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あなたの向いている金利タイプは?
金利タイプ | 向いている場合 |
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変動金利型 |
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固定金利期間選択型 |
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全期間固定型 |
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あなたの借り入れ状況やライフプランに合わせて、ぴったりの金利タイプを選んでくださいね。
まとめ
- 先に固定金利が上がり、あとから変動金利が上がる
- 住宅ローンを長期間借りるつもりでなく、金利は上がらないと考えるならば、変動金利がおすすめ
- 金利が上がるリスクを避けてしっかり返済計画を立てたいなら、全期間固定型がおすすめ
- 教育費がかかる時期は金利が上がるリスクを避けたいなら、固定金利期間選択型がおすすめ
- 変動金利なら、固定金利との差額を貯金したり運用したりすること
- 住宅ローンの金利が低いうちに繰り上げ返済をすること
- 変動金利が上がっても、5年間は返済金額は変わらず、125%の上げにとどまる
- 変動金利が上がり、払いきれなかった利息は最後にまとめて払う
- 固定期間が長いほど金利は高くなる
- フラット35などの全期間固定型は最後まで金利が変わらず安心
- 固定金利期間選択型は固定金利期間が過ぎたときに交渉しなければ、金利が上がる
*1:住宅金融支援機構住宅ローン利用者調査2023年4月調査より